投稿日時 2013-05-05 20:35:01 投稿者 GORO このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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それは、とある早朝の出来事だった。 「ふんふんふん、ふんふんふん♪」 ゴポゴポ、と鍋の煮る音。 台所前には私服姿の少女、鍵谷真木が鼻唄をつきながら携帯電話の時間を見つめている。どうやら煮る時間を見ているようだ。 「うーん、よし」 そして、調理時間が経ったようだ。 鍵谷は用意した箸を手に鍋の中身を掬い上げる。 箸で掴んだ食材。 ソレは、 「………うーん」 黒く焦げたジャガイモ。 煮すぎた、にしてはあまりにも黒すぎる。 鍵谷の計画では、ジャガイモを煮たものにベーコンを巻き爪楊枝で刺し塩こしょうで焼くといった物だった。 が、しかし、こうなっては仕方がない。 「よし、もう一回がんばろう!」 鍵谷は握り拳を手に再び調理に入る。 そして、そんな鍵谷の後方で密かに隠れ怯える女性。 「(あわわわわ…………)」 鍵谷 藍。 鍵谷の母方、その姉に当たる女性だ。 彼女が怯えるのには理由がある。 それは、数年前。 「真木ちゃん、これって」 「いつも藍さんにお世話になってるから、お手伝いしようと思って」 「っ、ありがとう」 「へへ。さぁさぁ、食べて」 「ええ、それじゃ頂くわ」 あー、ぱくっと。 「ッ、ー」 「?」 「がぁはっ!!!!」 その後、二日間。 藍は腹痛に悩まされることになった。 というわけで、藍は震えた手元で携帯をいじる。 そして、彼女が電話かけたのは。 『はい』 「藪笠くん! お願いだから今すぐ来て!」 『…………何で?』 「いいから早く! 今すぐ速攻この瞬間に来て!!!」 『いや、無理だから!!』 こうして、交渉こと数時間。 藪笠が来た時には既に鍵谷 藍は廊下で食器を手に気絶していたとのこと。 鍵谷真木に視線を向けると、彼女は苦笑いを浮かべつつ速攻に逃げるのであった。 鍵谷真木の調理に嫌な経験がある。 |
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